Vol.1 VINTAGE SUBMARINER

SUBMARINER

  • ・ロレックス サブマリーナはプロフェッショナル用の完全防水腕時計で, 過酷な環境で活躍するプロダイバー向けに作られたダイバーズ ウォッチです。特徴的な黒地に白色のメモリが印された「回転ベゼル」を搭載し, ダイバーが潜水前にそのベゼルを回転させて水中で潜水時間を計測できるようになっています。 発表当時, サブマリーナーは水深 100m(330フィート)までの防水性能を備えた "世界初のダイバーズ ウォッチ" として発売され, これは1926年の世界初 防水腕時計 "オイスター"(オイスターとは腕時計の金属製防水ケースのこと)の発明に続く, 防水性能の技術発展における2度目の飛躍的進歩を成し遂げました。
  • ・サブマリーナの誕生は世界初のダイバーズ ウォッチの称号のみならず, 時計製造においてダイバーズ ウォッチの "基準を定めた" 歴史的ターニングポイントと位置付けられています。今もなお 世界中のファンから多くの支持を集め, また その世代に縛られることなく圧倒的な人気を誇り, ROLEX の "シンボルのうちの一つ" として称れています。各ブランドも続々とダイバーズ ウォッチの新作を製造する昨今, ダイバーズ ウォッチのジャンルを "象徴する時計" としての地位までをも確立しています。更には, ダイバーズ ウォッチというジャンルの枠を超えて, 全世界のスポーツ ウォッチという非常に大きなカテゴリー全体を開拓し, そのカテゴリーを揺るがすほどの影響を与え続けています。
  • ・サブマリーナとして明確に分類できるリファレンスだけで, 過去から遡り現在までに十数種類のモデルが存在し, 文字盤の表記, 夜光塗料が塗られているプロット(インデックス)等の違いをどこまで細かく分類するかによっては, 数百ものバリエーションが存在することになります。このVol.1では, 明確に最初のサブマリーナーであると定義できる, 1953年の初代モデルから最後のクラシックモデルといえる「Ref.5513」と「デイト機能付き Ref.1680」までの "ヴィンテージ サブマリーナー" に注目して解説します。これら全モデルの共通点は "4桁のリファレンス ナンバー" であることと "プラスチック ドーム風防" を装備している点が挙げられます。5桁リファレンスであるサファイヤ ガラスの風防や先進的な技術を搭載した "Ref.14060 と Ref.16800" 以降の現代時計としてのサブマリーナに関してはVol.2で紹介します。
  • ・ここからは余談になりますが, 1953年という年がロレックスにとって非常に大きな意味を持つことになります。Ref.6202 ターノグラフ, エクスプローラー(複数モデル), そして Ref.6204 サブマリーナーの全てが, この年にデビューしたのです。小さめのサイズ, ハニカムダイヤル, 細身の針などの差異はあるものの, これら最初期のモデルらは サブマリーナーと強く結びついており, 現代の私たちにとって馴染みのある見た目と雰囲気を持っていました。この3つの時計が, 今日まで続くブランド イメージと象徴的なステータスの礎となるロレックス デザインの創世記を担うことになります。これらの時計は "スポーツ ウォッチ" であると同時に洗練されたデザイン要素を兼ね備える統一性のある製品であり, 生まれながらにして最高の実用時計であったと今に伝えられています。
  • 左「ref.6202 TURN-O-GRAPH」 中「Ref.6350 EXPLORER」 右「Ref.6204 SUBMARINER」  出典元:HODINKEE, URL:https://www.hodinkee.jp/

初代 Ref.6204 / 6205 / 6200

Ref.6204 / 6205 / 6200

  • ①1926年に世界初の防水性能を備えるオイスターケースを開発したロレックスでしたが, 水中でも耐えられる更に精度の高い時計の開発に着手し, 防水性能が100mである この「Ref.6204 画像①」のサブマリーナを誕生させました。まさしくこの初代モデルが "SUBMARINER" という名前を文字盤に刻んだ初の時計です。一般的な資料では サブマリーナーの登場は1954年となっていることが多いですが, これはロレックスが正式に発表し, このモデルをリリースした年になります。しかし, シリアル ナンバーとケースバック内側の刻印から判断すると, 実際の製造は1953年から始まっており, 最初期のものには製造時期を示す "II.53"(1953年 第2四半期)の刻印が確認されています。現在, "初代モデル" ということに関して議論や諸説もありますが, 「Ref.6204」が初代だという説が最も多く 信憑性があるようです。これまでのサブマリーナのほとんどが「ベンツ針」を採用していますが, この初代モデルは "ペンシル針" と言う鉛筆型をした長短針が装備され, ムーブメントには自動巻きの「Cal.A260」が搭載されました。
  • ②「Ref.6205 画像②」は1954年から’50年代後半まで製造され, どのリファレンスでも製造期間中に大きなデザインの変更は殆どないが, 細かな変更は Ref.6204 と Ref.6205 を含むこれ以降のリファレンスでも頻繁におこなわれ, 製造期間中にもかかわらず ムーブメントが Cal.A260 から次世代機の「Cal.A296」に変更されました。 1954年初頭の短い期間のみ, 文字盤6時位置の "SUBMARINER" の文字が記されていないモデルが存在しており, それらは "クリーン ダイヤル"と呼ばれてますが 最終的には再び記されることになります。ロレックス スポーツ モデルの特徴的なメルセデス時針がついに登場すると共に, 秒針のロリポップの先の直線状の先端部がより長く 延長されたデザインに変更されました。特筆すべき点は, 後継モデルの Ref.5512 や Ref.5513 と比べて, 時分針が明らかに長いことです。時針の文字盤中心からメルセデス マーク部分を繋ぐ直線部は後継モデルよりも長く, 分針はケース幅いっぱいまで伸びています。我々が頻繁に見かけるモデルや 一般的に認識されているサブマリーナーの外観に一歩近づき始め, Ref.6204 と共通することですが "メルセデス針を使わない" 最後のサブマリーナーとなったモデルです。
  • ③1955年から’56年まで製造された「Ref.6200 画像③」は, サブマリーナーの最高傑作リファレンスの一つとされ, 多くのコレクター達を熱狂させるモデルであり, "キング サブ" と称されています。このモデルはサブマリーナー初の "Brevet" と刻印されている8mmの大型リューズ(通称:デカリューズ)を装備しています。文字盤には " 3-6-9 " の数字が入ったデザインからエクスプローラー ダイヤルと呼ばれています。この世代は防水性表記やクロノメーターが表記されたモデル以前のモデルであるため, 非常にシンプルな文字盤に仕上がっており, ラジウム塗料で描かれた大きなアラビア数字をより際立たせています。ケースはこれまでのモデルよりも "少し厚く幅広" の形状で, これまでの倍の防水性能200mを実現しました。また, 大きく分けてスモールロゴとラージロゴの2種類がリファレンス内に存在します。6時位置に「SUBMARINER」と 表記されているものと, されないものが存在します。両バージョンとも前リファレンスと同様の長めのメルセデス針とハッシュマークの無いベゼルが採用されました。因みに Ref.6200 は Ref.6204 の2年後に登場したにも関わらず, それよりも小さなリファレンス ナンバーが割り当てられています。このモデルの方が先に開発されていたものの, ロレックスが何らかの理由で発表を遅らせたのかもしれません。

第2世代 Ref.6538 / 6536

Ref.6538 / 6536

  • ①第2世代であるサブマリーナ「Ref.6538 画像①」は1956年から1964年の約8年間ほど製造され, 映画 "007 ドクター・ノー" の劇中で人気スコットランド人俳優 "故ショーン・コネリー" が演じた "ジェームズ・ボンド" が着用していた, 通称「ボンド・モデル」であり, アンティーク サブといえば, これをイメージする代表的なモデルで "アンティーク サブマリーナの象徴" と言っても過言ではないでしょう。Ref.6538 の製造期間中にベゼル上の0から15分の位置に分刻みのメモリが記され, 12時位置の "赤色の三角形" が先代モデルとの違いです。この赤色三角形が記されたベゼルは, この世代とその次の世代「Ref.5508 / 5510」にも装備されます。ムーブメントは 両方向巻き上げ式の「Cal.1030」を搭載し, 防水性能は200mまで向上。通称 "でかリューズ" と呼ばれる, 通常のモデルより大きな "Brevet" と刻印のある「8mmリューズ」が装備された特徴的なモデルです。文字盤には12時位置に「ROLEX / OYSTER PERPETUAL」, 6時位置に「200m=330ft / SUBMARINER」と入った, 初の「フォー・ライン」文字盤でもあります。そして, サブマリーナでは初めての "クロノメーター規格の基準をクリア" したモデルで, 文字盤6時位置の「SUBMARINER」の下に「CHRONOMETER」と表記されているものと表記されていないものがあります。
  • ②「Ref.6536 画像②」は1956年に製造が始まり, 明らかに違う時計に仕上がっています。防水性能は100m, Ref.6538 と異なる小さめの「6mmリューズ」と少しスリムな Ref.6205 のケースが採用されていました。文字盤そのものは先代モデル同様の「ラジウム夜光のドット インデックス」と「チャプター リング」を備えた「ギルト(金色を意味する)」仕様ですが, 針はこれまでのモデルと比較しても目に見える進化が始じまり, 短めのメルセデス時針と視認性を高めたとされる "白色" の秒針が装備されました。搭載されるキャリバーは「Cal.1030」でバブルバック世代のキャリバーから, よりスリムなキャリバーが採用されました。Cal.A260 と Cal.A296 と同じく1950年に登場しており, 多くの "オイスター パーペチュアル" や有名な ref.6610 を含む "エクスプローラー" にも搭載されていました。"18,000振動/時" 仕様のこのキャリバーは, わずか5.85mmの薄さで, 自動巻ローターを犠牲にすることなく, ケースバックの出っ張りを大きく減らすことを可能にしました。このモデルでは, ケースとケースバック内側の "6538" の刻印が横線で消され, その下に "6536" と刻印された "ダブル リファレンス" であるといえます。専用のケースと Ref.6536/1 が割り当てられるまでに非常に少数の個体だけが製造されました。

第3世代 Ref.5510 / 5508

Ref.5510 / 5508

  • ①「Ref.5510 画像①」は第3世代のフラッグ シップ モデルでありながら, 1958年~1960年の約2年間と言う短い期間で製造され, 後述する Ref.5508 の100m防水性能に対して Ref.5510 は200mの防水性能です。Cal.A296 の次世代ムーブメントである「Cal.1530」が搭載されており, Cal.1530 を搭載した最初のサブマリーナーでもありました。このムーブメントは, 1957年に登場すると徐々にロレックスのラインナップに浸透していきました。後継モデルである "Ref.5512" の各バージョンにも継続して搭載されました。製造期間が極端に短く短命であったため, 現在の日常では殆ど見かけることのない希少なモデルであり, 8mmリューズの "でかリューズ" や "リューズ ガードの無い" サブマリーナの最終世代となります。お気づきのように, このモデルは先代モデルとほぼ同時期に製造され, 外観が "そっくり" なモデルです。現状での判別方法は, ラグの間のリファレンス ナンバーの刻印で見分けるしかなく, これらが, この時代のサブマリーナーの歴史を非常に複雑なものにしている理由の一つでもあります。
  • ②「Ref.5508 画像②」は Ref.6538 の姉妹機であるスモール クラウンの Ref.6536 が存在したように Ref.5510 にも, この Ref.5508 という一回り小さいモデルが存在しました。Ref.6536/1 からデザインの進化を遂げたモデルで Ref.6536 と同じ100mの防水性能を引き継いだが, ムーブメントには「Cal.1530」が搭載され, その後, 次世代機であるクロノメーター規格の「Cal.1560」も搭載されました。Ref.5510 と同じく, 文字盤6時位置の「SUBMARINER」の下に「CHRONOMETER」と表記されているものと, されていないものがあります。1958年から約5年間の製造期間中に進化した点が二つあり, 一つ目はベゼルの赤色三角形が銀色へと変更され, 二つ目は文字盤に使われた夜光塗料の素材です。1960年代初頭「ラジウム塗料」の人体に及ぼす危険性が取り上げられたため, 1960年代の初頭に製造された Ref.5508 では, ラジウムの含有量を下げた, 明るめの色合いの夜光塗料を使用した個体が確認されています。これらが要因でロレックスは, 1963年以降の全モデルの夜光塗料を「トリチウム」へ変更しました。

第4世代 Ref.5512

Ref.5512

  • ①「Ref.5512」は1959年~1977年までの約18年間製造されたモデルで, リューズを衝撃から護るため「リューズガード」が装備された初のサブマリーナです。ケース径は 先代モデルの37mmから「40mm」へと大幅に変更され, 初期ムーブメントは Cal. 1530 を搭載しますが, 複数回のモデルチェンジに伴い Cal.1560 や次世代機である「Cal.1570」も搭載されています。リューズガードの装備とケース径が40mmへとサイズアップされたことで, "我々が知るサブマリーナ" へ大きく前進するスタイリングが確立されました。その"初"搭載となるリューズガードは, 最初期の角ばった形の「SCG」(スクエア クラウン ガード)から 「PCG」(ポインテッド クラウン ガード)に変更され, 最終的には現行モデルに近い丸みを帯びた形状の「RCG」(ラウンド クラウン ガード)へと改良されます。最初期の SCG は非常に希少性が高く, 世界的なオークションでも高値で取引されているようです。
  • ②Ref.5512 は今でこそ後述する「Ref.5513」の "クロノメーター バージョン" として知られていますが, 生産当初はノン・クロノメーターです。そのため, 生産初期はクロノメーター表記の "ない"2行表記でチャプターリング "あり" のギルト ダイヤル(日本での通称:ミニッツサークル ダイヤル, 参照:画像①)でしたが, Ref.5513 の登場と同時期に, クロノメーター規格のムーブメントが搭載された事で, クロノメーター表記が加わり「4行表記」のギルト ダイヤルに変更されました。その後, チャプターリングは廃止され, ダイヤルの質感がミラー調(ギルト ダイヤル)からマット調(マットダイヤル, 参照:画像②)へと変更されました。このように, ミラーダイヤルには様々な種類が存在しますが, 今となっては良好なコンディションのダイヤルが非常に希少で人気が高く, 見つけるには年単位の時間が必要でしょう。現在, ミラーダイヤルが装備されている個体の相場は, マットダイヤルの2〜5倍と大変高額ですが, 店頭に並ぶ前にお得意様に流れてしまうことも頻繁にあるようです。

第5世代 Ref.5513

Ref.5513

  • ①Ref.5513 は1962年~1989年まで製造され, 生産が約30年もの長期間続いたロレックスの中でも随一のロングセラーモデルです。長期の製造であったため, 様々なマイナーチェンジが行われ, ダイヤルバリエーションが多いのも特徴の一つで, それらを把握するのは非常に困難です。Ref.5513 のドット インデックスには, メタル枠の有無があり「フチなし」と「フチあり」に大別され, 特に最初期と初期および中期や前期のダイヤルにあたる "フチなし" には, ミニッツ サークル, ミラーダイヤル, メーターファースト, MK-1, ロリポップ, マキシ ダイヤルなどのレアポイントが多数存在します。また初期生産分のケースには, 先端が鋭角でシャープなラインのポインテッド クラウン ガード(PCG)が備えられていました。画像①は 1964年~1966年に製造されたフォントが金色で表記される希少性の高い「ミラーダイヤル」です。
  • ②こちら(画像②)は1967年から約3年間 製造されたマットダイヤルの通称「メーターファースト」。そのマットダイヤルは前後期と大きく二つに分けられ, 一つ目は 6時位置の表記が下段に「SUBMARINER」, 二つ目は 上段に「SUBMARINER」と表記されたダイヤルが存在して分類されます。しかし, 初期 中期 後期 と3つに分類されることも頻繁にあるので注意が必要です。下段の "SUBMARINER" 表記には大きく分け二つのバージョンがあり, その一つ目のダイヤルが, 初期タイプである「メーターファースト」にあたります。6時位置の表記が上段「200m-660ft」, 下段「SUBMARINER」となっており, ここで一番大事な点は "メーター ファースト" と呼ばれているように「200m-660ft」の "m" が先頭で次に "f t" が表記されている事が重要です。ベゼル上の数字が "柔らかみ" のあるレトロ調のフォントで表記されており, 後述するモデルと比較すると, やや縦長の50の "5" の数字が特徴的です。
  • ③マットダイヤル(中期)にあたる, 1970年からの約8年間 製造された個体には「シンガー社, レムリッチ社, スターン社」の3つの各社で製造され「MK-1」と位置付けられ, ダイヤルそれぞれに特徴があります。こちら(画像③)は「シンガー社製」のダイヤルが装備された個体で, ROLEX のロゴがメーター ファーストと類似しています。 中期モデルの中でも流通量が一番多く比較的見つけやすバージョンだと思います。根気よく探せば まだ優良な個体も見つかるので, 初めてのビンテージ サブマリーナとして筆者のお勧めです。尚, この頃の個体は同時期に製造していた "Ref.5512" と共有パーツが多く, バックケースの裏面に "5512" と4桁数字の "刻印" が入っている個体もあるようです。このことからロレックスは時代背景も影響して, 他のモデルの品番が刻印されているにもかかわらず, それらの部品を他のモデルに流用していたことが分かります。
  • ④マットダイヤル(後期)にあたる, 1980年前後の約5年間の個体には「マキシダイヤル」と呼ばれるドット インデックスが通常より大きい文字盤が存在します。その中でも 1978年〜1981年の間に製造された「ロリポップ ダイヤルは MK-3」のダイヤルであり, 外周目盛とインデックスの隙間が無く, 形がロリポップ(棒が付いた飴 画像④)に見えることから, 後年に通称として名付けられました。製造数が極端に少なく人気があり, 通常ダイヤルの2~3割ほど高値で取引されています。また マットダイヤルの後期から, 6時位置の表記が上段「SUBMARINER」, 下段「660ft-200m」と変更され, これ以降の Ref.5513 のダイヤル表記はこの形で定着します。
  • ⑤ここでは中期と後期のモデルに装備された「MK-2〜MK-5とサービス ダイヤル」について解説します。MK-1 はメーターファーストの次にあたる 1970年〜1977年の期間に製造されたダイヤルで3タイプ存在します。それらは上述のとおり「シンガー, スターン, レムリッチ」の各社が製造したダイヤルです。MK-2 は王冠が最もシャープで書体が上下に圧縮されており, 「660ft=200m」がやや下部に表記され, マットダイヤル全体の5%と比較的少なめです。MK-3 は王冠が8種類中, 最も大きく書体の太さが均一でマットダイヤル全体の10%です。MK-3 は先に紹介した "ロリポップ ダイヤル" であり, マットダイヤルの中で最も人気のダイヤルです。MK-4 は全体的にバランスが良くハネのある現代的なフォントで表記され, 隠れファンが多いとの噂も耳にします。マットダイヤル全体の15%とやや多めなので市場で見かける機会も。 MK-5 は王冠がやや小さくなったため「ROLEX」のロゴが大きく見え, 6時位置の「SUBMARINER」が1960年頃の Ref.5508 以来, 20年ぶりに防水表記より "大きく" 表記されています。マットダイヤル全体の7%です。
  • ⑥こちら(画像⑥)は1983年から約7年間 製造された Ref.5513 の最終モデルです。インデックスには金属製のフチ取りがある, 通称「フチあり」です。リューズがツイン ロックから「トリプル ロック」に変更され, ブレスレットは「ブレスNo.93150 のハードブレス」+フラッシュフィットは「FF No.580」に進化しています。レア度は "フチなし" に劣りますが, 実用性に関しては "フチあり" の方が優れています。ダイアルのデザインも現代風のスタイリッシュな印象で, 価格も先代 "フチあり" と比較すると手頃なため, 若い人を中心に人気を博し続けています。このように進化の過程が垣間見れるディテールはコレクターを夢中にさせ, 現在では希少性がますます高く大変人気があるため, Ref.5513 はビンテージ ロレックスの入門機となっております。

Ref.1680

Ref.1680

  • ①この Ref.1680 は1969年〜1980年の約11年間 製造されたモデルで最大の特徴はサブマリーナーに初めて日付表示機能が搭載され, 2.5倍に拡大するサイクロップ レンズ付きデイト表示を装備したことです。Ref.1680 で最も有名なのは, ダイヤルのロゴ「SUBMARINER」の表記が赤い(画像①)通称「赤サブ」です。Ref.1680 の生産初期は赤サブ "のみ" の生産で 製造期間は1960年代後半~1970年代前半までとされていましたが, 近年では1970年代後半でも存在している事が確認されているようです。 赤サブの中でも最もコレクターアイテムとされているのは「メーターファースト」と呼ばれる前期型で, 経年変化でダイヤルがブラウン調に変色したものは特に人気が高く 大変希少なバージョンです。またドット インデックスが濃い黄土色に変色したダイヤル(上部横長画像)は "パンプキン ダイヤル" と呼ばれ, ビンテージの風合いが色濃く良い表情をしています。
  • ② 防水性を高めた「トリプロック リューズ」を採用したのが このモデル Ref.1680 からとなり, 初期生産分にはツインロック リューズも存在します。 ロレックス独自の防水構造を持つトリプロック リューズは, これまでリューズ側にだけ備えていたゴムパッキンをチューブ側にも2つ設け, リューズを締めた際のゴム圧によって気密性を高め, より信頼性の高い防水性能を実現しました。ムーブメントには1960年代に誕生して20年以上に亘り, スポーツモデル全般に搭載されていた, 名機と名高い「Cal.1570」が採用され, リューズを引くと秒針が止まる「ハック機能」が付いています。こちら(画像②)の個体は, ダイヤルのロゴ「SUBMARINER」の表記が白い, 通称「白サブ」です。製造期間が短いのは, 人気の赤サブより実はこの白サブなのです。
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